マツダ車の魅力

1.5リッターで289万円。

”ずいぶん高いクルマだな”

同排気量のコンパァクトカーよりも100万円近く高い。 たしかに、1010kgで289万円。1キロ当たりの値段でいえば、アルファードよりも高額だ。

だが、ロードスターはまぎれもなく庶民の味方である。 なぜならロードスターは、「FR」と「オープン」を兼ねそろえた最も安いスポゥツカーだからだ。

世界中を見渡してみて、いまや大衆スポゥツカーは死に体である。 百年に一度の大変革期の今、目指すところは電気自動車(BEV)、先進安全自動車(ASV)なのであって、 どのメーカァも血眼で抜きつ抜かれつ、熾烈な生存競争を繰り広げている。

しかし、このメーカァは違った。

マツダである。

もうひとつ、このメーカァも違った。

トヨタである。

ここは有り余る金にものを言わせて何でもやってしまう。ル・マンに出れば優勝するし、 エンジンの将来性を語ったと思えば、バッテリー用の鉱山を買っていたりもする。規格外の横綱相撲。おまけにクルマの出来も素晴らしい。クラウン、ランドクルーザー、プリウスはもちろん健在で、GR86をはじめとするスポゥツカー軍団までこなしてしまう。

なんたる酒池肉林ぶりだろう。かつてのヒール役が、今日では勝ち誇り、王者の風格で手をこまねいてくる。 つぎつぎとホンダびいき、日産びいきがトヨタの軍門に下っていった。だが、武士は食わねど高楊枝。 私だけはトヨタから差し伸べられた手を毅然として振り払った。おばあちゃんから浮気はよくないと教えられていたからだ。