マツダ・ロードスター(NC)
レンタカー屋に着くと、ピカピカのNC1ロードスターが出迎えてくれた。とても15年落ちとは思えぬコンディションである。
ウム、内装は相応にくたびれておる。ドアはペタンと閉まり、シフト＆クラッチフィールからは精度感が失われている。
お陰でクラッチのミート・ポイントが分かりづらい。低速トルク不足のエンジンも相まって、発進には多少なりとも気を遣う。
走り出すと、フロントスクリーン周りから、ガタピシとボディのヤレに起因するノイズが気になるが、それ以上にパワフルなエンジンが印象的だ。
右足を踏み込めば、体がのけぞるような豪快な加速である。あっという間に制限速度を大きく超えてしまい、ふと我に返る。こいつはACコブラなのだ。
ロードスターという、か弱き日本製ブリティッシュLWS(ライト・ウエイト・スポゥツ)に、フォードの影響を受けた高出力MZR2000エンジンを載っけたドラッグ・カーがNC１ロードスターなのである。
ビビッドなハァンドリングも含め、NC1はリアル・スポゥツに限りなく近い。ゆえに、俗っぽいのだが。
NC1はシティ・ボーイ。
ワインディング・ロードよりも、街中の方が心躍る。明らかに俊敏な身のこなしは山道ではチト気を使うが、街ではその刺激が丁度心地良いのだ。
クルマが「飛ばして」と囁くようなNC1は、ルーフを閉じてハシった方が様になる。
ところがこちらから呼びかけてみても、クルマはつれない返事である。そこでとばかりに攻め込んでみると、リアが唐突に流れ出すので危険ですらある。
ロードスターなのに幌を閉じた方が様になり、ロードスターなのにハシリに一体感が欠けている…
かくも多くの矛盾を抱えたクルマがNC1ロードスターなのだ。＜2023年1月＞