マツダ・ロードスター(ND2)S-スペシャルパッケージ
ND型にして最大の仕様変更。それが2024年モディルなのである。
現代のクルマはコンピュータでできている。いまやロードスターと言っても、巨大な集積回路には違いない。
ところがND型はデヴューが旧く、とりわけサイヴァ・セキュリティに関していえば旧式も甚だしかった。
これにはまったく明るくない私だって、ここ数年の人工知能(AI)の進歩を見れば大変だろうと想像はつく。
つまり今回の改良は、セキュリティの脆弱性に関してのアップデートが主たる目的なのである。
これはもはやパソコンそのもので、風情も何もないだろう。
さらには乗り味までもが現代的に変化した。きわめてフリクションが少なそで上質なのだ。
もはや初期型の巌としたスティアリング・フィイルは望みようが無い。
エンジン・サウンドについても同様だ。スタート時の空ぶかしは静かになり、巡航中のサウンドも呆気ないほど静かである。
これには度重なる騒音規制が一枚噛んでおるのだろう。
かくしてロードスターは、より乗用車らしくなったといえる。
難しいものである。MAZDAの開発陣はロードスターが何たるかを知り尽くしているから、こうした薄味化には辛酸を舐めたはず。
そこまでしてまで、ロードスターは現役にこだわった。
ユーノス人気にあやかって世に放たれた数多のオープン2シーター。
今となってはその殆どが忘れ去られたように、継続は何より難しい。
いまや、スポゥツカーだからといって我慢が許される時代ではなくなったのである。そして、こうした進化のお陰で、最大多数の最大幸福を掲げるロードスターは、これからも老若男女をしあわせに導くことだろう。
こいつは誠に天晴である。
それでも、いくら何でも大画面ディスプレイは風情が陰る。
こういうディジタル・デバイスは、俳句を途端に川柳へと変えてしまう力を持っている。
こうした大画面は目に毒だし、何よりインターネット空間を彷徨うというのが、あまりにロードスターらしくない。
なにはともあれ、ロードスター。まだまだ世界一の座は盤石である。＜2024年4月1日＞